マツド・サイエンス研究所

自作スピーカー

自作したモノは数多くあるが、今まで個人的に作った中で最大なのはスピーカーである。

(ただし、質量で評価した場合。寸法なら、翼長2メートルを超すラジコン・グライダーだし、コストでは基板パターンまで自作したコンピュータだ)

そのスピーカーは、独身時代だから、17・8年ほど前に作ったもので、ダイアトーンの P-610 と言う伝説(?)のユニットを主体に作ったものだ。P-610 は、16センチ径のフルレンジで、いわゆる「ロクハン」と呼ばれるモノである。

このユニットは、古い設計なので、73リッターという大きな箱のバスレフに入れている。箱の大きさ、バスレフのダクトの大きさ・長など、全て自分で計算し、試聴しながら調整した。

このスピーカー、素直な音に仕上がったが、当然、フルレンジだから、超低音と高音は弱い。高音側が物足りないので、リボンツィータFT7RPを足し、ゆるいクロスオーバーで低中音と高音を繋ぐ設計にした。低音側はバスレフが効いているのか、それほどの不満は無い。もちろん、現在流行りのサブウーハーに較べると、全く足りないが。

できあがったスピーカーは大変気に入っていた。常に部屋の一番良い所を占めていたのだが、結婚し、子供ができて状況は一変した。

何せ、70リッターを超る箱が、2つ(ステレオ用だから当然2つ)もリビングの一番良い場所にあるのだから、邪魔である。

音楽を聴くならミニコンポでも買った方が良いと言うことになり、我がスピーカーの運命は風前の灯火となった。

いよいよ、某有名オーディオメーカーのミニコンポを購入し、リビングに設置した。

妻と、真新しいミニコンポと我が自作スピーカーとを聞き比べた。この勝負に負けたら、我がスピーカーは「粗大ゴミ」だ。

意外な事に、我がスピーカーは、勝利したのである。

フルレンジの実力を知る者なら判ると思うが、大きな箱に入れたフルレンジは、想像を超える素直な音がする。アコースティック系の音楽なら、無理やり小型化したスピーカーに負けない。

聞き比べた曲が、妻の好きなクラシック音楽だったのが良かった。

歌謡曲やハードロックだったら、危なかったかもしれない。

我がスピーカーは、廃棄を免れた。リビングの一等地を明け渡しはしたものの、今でも、私の部屋にある。

ちなみに、P-610 は、既に生産中止された。生産中止が決まった時に、メンテナンス用にもう1組(2個) P-610 を買って置いた。この P-610 は長いこと我が家の押し入れにあったが、野尻さんが星雲賞を受賞した時にお祝い代りに進呈した。そっちの方も、まだ、野尻さんの家にあるかもしれない。

スピーカーの自作は、とても楽しかったし、17・8年ほど経った今でも使えるほど、実用的だ。

機会があったら、是非また作ってみたいと思って居る。今度作りたいのが、バックロードホーンと言うタイプだ。バスレフよりも遥かに設計が難しいのだが、コンピュータの力を借りれば、私のような素人でも設計できるかも・・なんて考えて居る。

ただ、最大の問題は、住居だ。既に手狭になって居る我が家に新しいスピーカーを置く余地は無い。

が、それ以上に問題なのは音である。バックロードホーンは、その特性上、大きな音を出してこそ、本領が発揮できる。とてもじゃ無いが、現在の住宅状況じゃ、近所迷惑で、バックロードホーンの本領が発揮できるような音は出すことなど、とてもできない。

バックロードホーン・スピーカーを作る前に、山中の一軒家の別荘でも手に入れないと、不可能だねぇ。

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