マツド・サイエンス研究所

実体顕微鏡でハンダ付け

ちょっと前までは、電子工作に使う IC は、 DIP と言う 2.54mm つまり 10 分の 1 インチピッチのピン(足)が、IC 本体の両側にがあるものが主流だった。

だが、一般的な電子製品では、もっと実装密度の高い SOP や QFP のようなパッケージが主流になっている。そのため、最近、秋葉原で売っている部品も QFP が多くなっている。

先日も、秋月で、H8Tiny CPU を買った。値段は一個 750 円とか 800 円と安いのだが、QFP である。今回購入した H8Tiny CPU の場合、本体の四方向に 0.5mm ピッチの 足が 25 本ずつ、合計 100 本のパッケージだ。

流石に 0.5mm ピッチのままだと配線もめんどうなので、DIP ピッチへ変換する基板に半田付けをした。高密度実装するための QFP だが、電子工作には小さすぎるので、変換基板に半田付けわけだが、これでは実装密度は逆に悪くなっている。本当は、最初から、DIP サイズの部品が手に入った方が早いのだが、前述したように一般的な電気製品に使われる部品が、高密度実装用のパッケージが主流になっている現在、否応無く、高密度実装パッケージ用の部品を使わざるを得ない状況になっている。

真空管のころは、半田付けも楽だった。DIP が主流になると、「小さすぎる」と言う人も居たが、私には 2.54mm ピッチの DIP は苦にならなかった。

だが、流石に0.5mm ピッチの QFP の半田付けは厳しい。以前は補助的な道具は一切使わずに、手先の器用さだけで、0.5mm ピッチの半田付けすることを粋がって居た時期もあったが、最近では文明の利器を使うようになった。

イラストのように「実体顕微鏡」を使って、半田付けすると、0.5mm ピッチでも勘に頼らず、半田付けできる。

「実体顕微鏡」と言っても、工業用のモノや医療用のモノは、とても高く、個人が買える値段ではない。私が使って居るのは、ニコンの「ファーブル・ミニ」と言う、自然観察用の倍率20倍の実体顕微鏡だ。これは、野尻さんのホームページに紹介して居たのを見て欲しくなった。息子のプレゼントと言う名目で買って、親が使って居るのだから、困った親父である。

息子は、アウトドアで植物や昆虫を見ては喜んで居る。元々、そういう用途向きに作られて居るだけあって、よく見える。

その実体顕微鏡を借りて半田付けしている。工業用実体顕微鏡の場合、50倍位は欲しいのだが、20倍の「ファーブル・ミニ」でも、0.5mm ピッチの半田付けの助けにはなる。細かい作業ができるので、0.5mm ピッチの足、一本一本にリード線を半田付けできそうだ。

私が半田付けをする時に、ミスをする確率は、千分の1か、それより少ない。真面目に統計を取った訳ではないが、そんな程度だと思う。成功率 99.9%以上と言うと、とても高そうだが、本当のプロは、桁違いに良い。まあ、素人としては、マシな方・・程度だ。

もちろん、これは、DIP での半田付けの場合で、0.5mm ピッチの半田付けだと、ずっと悪くなる。

私の電子工作を見ると、半田付けの成功率と関係して居る。つまり、回路規模を半田付けが千箇所以内にして居るのだ。

私の場合、電子工作の回路は、ほとんど、オリジナルの設計だ。だから、常に設計ミスの可能性がある。

回路を実際に動作させチェックする時に、半田付けミスや設計ミスが、どちらか単独で起きている時は、その発見は難しくはない。だが、半田付けミスと設計ミスが同時に起きていると、発見は、とたんに難しくなる。3つ以上のミスが重なると、発見は絶望的だ。

だから、最初に回路を作る時は、半田付けが千箇所以内にしている。こうすれば、半田付けミスは、一箇所あるか無いかで、二箇所以上の半田付けミスは考慮しなくても良い。

回路規模が大きくて、半田付けが千箇所以内に収まらない場合は、回路を2つ以上に分け、1つずつの半田付けが千箇所以内に抑えるようにする。分けた回路ごとに、実際に動作させチェックした後に組み上げる。

こんな方法は誰に教わった訳ではないが、40 年近い電子工作の経験の中で自然と身に付いた。

このやり方、良く考えてみると、いわゆる「モジュール式」である。「こうやって、モジュール式が生まれたのかなあ」とか、「私以外にも、自己流モジュール式を編み出した人は大勢居るんだろうなあ」とか、思って居る。

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