マツド・サイエンス研究所

人類は宇宙へ飛び出そう まずは小惑星から 第2章『宇宙へ飛び出す』なんて『レトロ・フューチャー』じゃないの? 

第2章『宇宙へ飛び出す』なんて『レトロ・フューチャー』じゃないの?

このシリーズのコンテンツの主題は『人類は宇宙へ飛び出す』って話だけど、『そんなの前世紀(20世紀)の、できもしない夢なんじゃないの・・』って言う突っ込みが、聞こえて来そうだ。

確かに、『人類が宇宙に飛び出す』話は、SF小説、漫画、アニメ、映画に度々使われて来たテーマだ。その上、それも20年ほど前を最後に、最近では余り使われなくなった古いネタと思われて居るだろう。

実際には『人類が宇宙に飛び出す』話は、小説や映画・漫画等の娯楽作品だけではなく、ツォルコフスキーやオーベルト、ダイソン等、科学・技術的検討を元にした思想として、繰り返し提唱されているものである。中でもオニール氏によるスペースコロニーのコンセプトはアニメのガンダムに大きな影響を与えたことで有名だ。

こう言った『人類が宇宙に飛び出す』話が、『できもしない見果てぬ夢』と思われるような背景には、40年近く前に月着陸を成功させたにも拘わらず、その後、大きな発展を示して居ないことがあるだろう。

さて、『冒頭の人類は宇宙へ飛び出そう まずは小惑星から』は、次の三つの段階に別れる。

(1) 人類のために、広い宇宙に、広がるのは必然だ。

(2) 宇宙には、人類が広がるための空間と資源とエネルギーなどが十分にある。

(3) 宇宙に人類が広がる事は、決して不可能ではない。それには、小惑星から始めるのが最適。

上記の3つは、(1)が目的・目標もしくはモチベーション(動機)、(2)が理由、(3)がフィジビリティ(実現可能性)に当る。

(2)については次回(第3回目)のコンテンツ、(3)については、第4回目以降に述べる予定として、今回は(1)について説明する。

地球は、物質的には閉じた世界である。地球外から、何の補給も無く、逆に無くなる物質も無い。もちろん、隕石の落下や、人工衛星の打ち上げなどの例外はあるが、全体から見ると、ごく少量で、ほとんど無視しても良い。従って、物質は再利用しないと、いずれ枯渇する。質量保存則から物質自体の総量は減りはしないのだが、問題なのは、物質の再利用にはエネルギーが必要な事だ。

地球は、エネルギー的には開放系で、太陽から光エネルギーを受け、宇宙空間に熱エネルギーを放射している。エネルギー自体は保存則に乗って居るのだが、エントロピーが増加するため、実際に使えるエネルギーは再利用することはできない。

現在の人類の営みには、今現在の太陽光エネルギーをだけでは足りず、何億年にも渡って太陽から受けた光を化石燃料として貯め込んだエネルギーを浪費している。

この状態が続く限り、いずれ人類は、まずはエネルギーを、続いて資源を使い尽くし、繁栄を続けることはできなくなる。

だからこそ、空間的にも物質的にもエネルギー的にも、地球とは比べ物にならない宇宙へ人類は飛び出すべきだ。

もちろん、反論も多いだろう。

地球の中だけでも、資源のリサイクルや省エネルギーに努力することで、人類を存続する事は可能だ、とか、エネルギーを化石燃料だけに頼るのではなく、太陽光、風力・潮力エネルギーを使ったり、原子力や核融合エネルギーを使うことが重要だ、とか言ったものだろう。

既に前回説明したように、この辺の厳密な検討は行って居ない。地球の中だけでの人類の存続の可能性について検討するのは膨大な作業になる。また、批判的な事も書かざるを得ないのでネガティブになってしまう。書く方も読む方もうんざりするだろう。

ここでは、私自身が「限られた地球の資源とエネルギーだけでは、人類はいずれ行き詰まる。だから、宇宙に出て行く必要がある」と言う動機で行動して居ることだけ理解してもらえば良いと思う。

他にも、反論として「水も空気も無い宇宙で人類が生活して何が楽しいのか」とか「そんな夢みたいな話、できる訳無い。」とかが聞こえて来そうだ。これらについては、前者は次回(第3回目)、後者は第4回目以降に説明する。

モチベーションの話に戻ると、科学が進み、宇宙の事が理解できればできるほど、宇宙の広大さが判り、相対的に地球の小ささが判って来たこともある。ちっぽけな事を「砂粒のよう」とか言う事があるが、宇宙に比べると砂粒に失礼なほど、地球は小さな存在だ。

地球が余りに小さな存在だと判ると、その中に閉じこもって居ることに耐えられない。自分の世代に、広い世界に出ることは無理でも後世のために、宇宙へ出て行くための努力をしない事は、罪だとすら思う。

少なくとも私は、そう思って居る。

私の中には、もう一つモチベーションがあって、それは「宇宙開発が停滞して居るのは、目標を見失ったため。宇宙開発の活性化のためには、壮大な目標が必要」と言うものだ。

だが、良く考えてみると最後のモチベーションは「宇宙開発の保身と存続」を元にしている。言ってしまえば宇宙機エンジニアのエゴに過ぎない。実は、昨年秋から何度も書き直した下書きは、この「宇宙開発の活性化のために壮大な目標が必要」から始まって居た。何度も書き直して居るうちに、モチベーションは、先の2つ即ち「人類存続のため」と「広大な世界へ飛び出したい」の方が純粋で本質的だと気が付いた。エンジニアのエゴは、付け足しに過ぎない。

『宇宙へ飛び出す』のモチベーションの本質は、「人類存続のため」と「広大な世界へ飛び出したい」だ。

だが、これらを、前面に出すのは、恥ずかしいものだ。

「おまえ、正気で言って居るのか??」と言われそうだ。

だが、あえて前面に出そう。

「人類存続のため、宇宙へ飛び出そう!!」

以下、続く。

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