マツド・サイエンス研究所

STM32入門 STM32のファミリー構成

さて、実際にSTM32を買おうと思って、Digi-key 等を見ても、在庫しているだけで、200近い品種があるので、どれを買おうか迷ってしまうだろう。だが、STM32の型番には規則性があり、型番を見れば大体どういう中身か想像が付く。

今回は、STM32の型番の見方だ。

イラストのように型番には幾つかの要素がある。

(ア) シリーズ/ライン

シリーズ/ラインは、CPUの速度や周辺機器など、マイコンを大きく特徴付ける部分を示す。現状、STM32には F1シリーズ、L1シリーズ、F2シリーズ、F4シリーズの4つがあり、各シリーズ内では互換性が高い。

・F1シリーズ

最も古くからあるシリーズで、現在の主力。さらに細かく細分化される。(シリーズを細分化したのが、ラインなのだが、F1シリーズがデビューした当時は良く使われたが、最近はラインと言う言葉をメーカーでも使っていないようなので、無視して良いと思われる)

 F100:クロック 24MHzでUSART/SPI/I2C/ADCとタイマー。

 F101:クロック 36MHzでUSART/SPI/I2C/ADC。

 F102:クロック 48MHzでUSART/SPI/I2C/ADC/USB(クライアント)。

 F103:クロック 72MHzでF102に追加して、CAN/I2Sとタイマー。

 F105:クロック 72MHzでF103に追加して、SDIO/DAC/USB(ホスト)。

 F107:クロック 72MHzでF105に追加して、イーサネット。

・L1シリーズ

昨年出たシリーズで、低消費電力バージョン。

 L151:クロック 32MHzでUSART/SPI/I2C/ADCとタイマー。

 L152:クロック 36MHzでL151に追加して、LCDコントローラー。

・F2シリーズ

今年初めに出たシリーズで、高性能バージョン。

 F205:クロック 120MHzでUSART/SPI/I2C/ADC/USB/CAN/I2S/DAC/SDIO/タイマー。

 F207:クロック 120MHzでF205に追加して、イーサネット。

・F4シリーズ

今年秋に出たばかりのシリーズで、浮動小数点プロセッサ付きの高性能バージョン。

 F405:クロック 168MHzでUSART/SPI/I2C/ADC/USB/CAN/I2S/DAC/SDIO/タイマー。

 F407:クロック 168MHzでF405に追加して、イーサネット。

(イ)パッケージピン数

・T: 36

・C: 48

・R: 64

・V: 100

・Z: 144

・I: 176

(ウ)メモリ容量(RAMメモリの方は多少上下するので注意)

・4: ROM:16K RAM:6K程度

・6: ROM:32K RAM:10K程度

・8: ROM:64K RAM:20K程度

・B: ROM:128K RAM:20K程度

・C: ROM:256K RAM:48K程度

・D: ROM:384K RAM:64K程度

・E: ROM:512K RAM:64K程度

・F: ROM:768K RAM:96K程度

・G: ROM:1M RAM:96K 程度

(エ)パッケージ

・U:VFQFPN

・Y:WLCSP

・H:LFBGA

・T:LQFP

(オ)温度範囲

・6:-40度〜85度

・7:-40度〜105度

(カ)バージョン

・無い場合もある。

・A,B,C

と言う具合。ただし、周辺機器に付いては、数が多過ぎて網羅しきれないので、主要なものだけあげてある。また、同じシリーズでもピン数の多いものだけあるとか、メモリの多いものだけ設定のある周辺機器もあるから注意が必要だ。

また、全ての組合せがあるわけではなく、高速クロックのCPUに小容量メモリの組合せやピン数の少ないパッケージの組合せなどは無い。一般的に、高速なCPUで多機能な周辺機器なほど、メモリ容量が大きいほど、パッケージのピン数が多いほど、高価だが、多少、順番が異なっている事もあるので、購入の時には注意しよう。

では、クロック速度や周辺機器、メモリ容量やパッケージのピン数、浮動小数点プロセッサの有無が適切でさえあれば、どれでも購入して良いのか?

次に、気になるのは、互換性だ。ピン配置やプログラムに互換性があるのか?

と言うわけで、次回は、STM32ファミリー同士での互換性の話。

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