マツド・サイエンス研究所

デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル

ここ1ヶ月ほど、暇を見つけてはコツコツと写真のような『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』を作っていて、昨日の土曜日にやっと音が鳴るようになった。

なぜ、こんな『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』と言う大層な名前のオーディオプレーヤーを作ったかと言うと、コミケにも出品したポータブル型のデジタルオーディオプレーヤーのさらなる性能向上を目指したからだ。

『ポータブル型のオーディオプレーヤー』は、その名の通り持ち運びに便利なように小型軽量に作っている。そのため、工作や回路変更が難しい。例えば、音を良くするための実験として、ローパスフィルターの特性周波数を変更するためにコンデンサーを交換するが、何回も繰り返すとプリント基板のパターンが剥がれてしまう。また、そもそもローパスフィルターの次数を変えることなど大幅な回路変更を伴う実験などはできない。

そこで、多少大きくても良いから、色々な実験ができるオーディオプレーヤーを別に作り、そこで実験して得たデータを使って、次回作の『ポータブル型のオーディオプレーヤー』の設計に反映しようと考えた。この実験のためのシステムが『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』である。

『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』は左のようなブロック図になっている。『ポータブル型のオーディオプレーヤー』は、電源に単一のバッテリーを使っており、これがノイズの混入などの音質劣化を招いていた。このため、『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』では、独立電源としている。図のうち 3.3V電源のみがデジタル回路用で、5V電源は DAC のアナログ部専用電源、±9V電源が純粋なアナログ用電源だ。

ローパスフィルターやヘッドホンアンプ部は、それぞれ独立したモジュールとして、今後色々な回路を試せるようにしている。

特に、クロック部も独立したモジュールとしている。今までは、音源用のサンプリング周波数は、CPUである STM32F4の内部のPLLで、CPU駆動用クロックから作っていた。音源用のサンプリング周波数に PLL を使うとジッタを発生するため、音質が劣化すると言われている。今後、専用周波数のTCXOを使い、ジッタのないクロックを使って音質が向上するかの実験も行うつもりだ。

このように、『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』は、いままでのポータブル型では試せなかった贅沢な回路の実験を行うので、ずっと音は良くなるはずだ。

だが、『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』、本来、高音質を狙うオーディオでは、やってはいけない事をやっている。

その1つが、回路が過度に分割されていることだ。本当なら、CPU部とクロック部を同じ基板、ローパスフィルターとヘッドホンアンプを同じ基板にすべきだ。その方がモジュール間の結線が短くて、ノイズや音質劣化が少なくて済む。

もう一つは、モジュール間の結線が無駄に長く、コネクタを使って接続していることだ。結線が長いのは、今後、モジュールを交換する時の余裕をみているからで、コネクタを使っているのもモジュール交換するためである。本来、結線は必要最小限の長さにし、コネクタを用いずに直接基板に半田付けする方が音質劣化にならないことは言うまでもない。

このように実験しやすい様にモジュール化したため、多少の問題はあるとは思うが、少なくとも『ポータブル型のオーディオプレーヤー』よりは、良い音になるはずだ。

しかし、『デジタルオーディオプレーヤー・リファレンスモデル』は、昨日やっと最低限の機能である『音楽が演奏できる』ようになったばかりであり、性能的には、まだまだである。クロック部は未だ手付かずで、現状は、サンプル周波数はCPUの内部PLLを使っている。ローパスフィルターは、パッシブのCRフィルターで間に合わせた。ヘッドホンアンプは、CQ出版 の「OPアンプMUSESで作る高音質ヘッドホンアンプ」に掲載されている回路を、そのまま使っている。

特に酷いのは電源部で、 3.3Vだけはレギュレーターで安定化しているが、その他の電源は安定化もせず、ダイオードブリッジの出力にコンデンサーを付けただけだ。

このため、ハム・ノイズが酷い。その上、濁ったような乱れた音に歪んでいる。

早い話が、まだ『ポータブル型のオーディオプレーヤー』より音が悪い。

まあ、一ヶ月くらい、あっちこっち弄ったら、『ポータブル型のオーディオプレーヤー』と同じくらいの音になるだろう。その後は『ポータブル型のオーディオプレーヤー』より良い音になるに違いない。

ある程度、音が良くなったら、試したいことは山ほどある。

・既に言ったように、ジッタの無いクロックだと音は良くなるか?

・音響用の高価なコンデンサーや抵抗だと、本当に音は良くなるか?

・ローパスフィルターの特性周波数や次数は音にどう影響するか?

・OPアンプの種類で、音は違ってくるか?

などなどなどだ。

ある程度、実験が進んだら、また報告する・・

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