マツド・サイエンス研究所

先日参加した学会で思ったこと

先日参加した学会で思ったこと。

自分の研究を発表している学生の元気がない。

発表の内容自体が面白くないわけじゃないけど、研究の対象が余りに細かすぎて、全体を見ていないのだ。その研究が最終的に何に使えるか、使えるようにするには、どう改良するかって展望が無い。

「例えば、君に研究ができたら、今まで小惑星までしか行けなかったのが火星に行けるようになる、火星までしか行けなかったのが木星に行けるようになるとか、そう言う風に考えないの?」と聞いたが、そう言ったことは考えても居なかったようだ。

発表セクションの間の休み時間に、やはりJ△×△から学会に参加していたチェアマンが「野田さんが言うのはもっともなんだけど、科研費とか、そう言った予算の選定が問題。『オリジナリティ』を重視しすぎて、将来性を考えたシステマティックな検討がおろそかになっている。逆に基盤的な研究は、本当は重要なんだけど、オリジナリティに欠けると言って選定されない。

J△×△がファンディングするべきなのかもね。『オリジナリティ』よりも将来展望を重視するように選定するとかね。

と言っても、必ずしもJ△×△のロードマップが上手くできているとは言えないけどね。」

追加するとシステマティックな検討と言うのは、例えば木星に行くには、どういう方法があって、それを構成するのにどんな技術の構成で成立するか考える。それを可能な限り現時点の技術で構成して、どうしても足りないところが何処で、それを現時点よりどれだけ改良するかって研究対象を考えるって言うこと。もちろん、場合によっては、現在の技術でも足りるかも知れないが、何処かを改良すると全体が飛躍的に改善されるような要素を研究対象としても良い。

こう言ったシステマティックな検討なしでオリジナリティな研究対象を選んでも、それはオリジナリティとは名ばかりで奇をてらっただけのアイデア倒れなものになってしまう。

その後、つらつら考えたんだけど、仮にJ△×△がファンディングしたとしても、選定過程で多人数の審査員(それも覆面審査員)が意見をそろえて選定すると、結局つまらない結果になってしまいそうだ。

いっそ、私が実名出して、独断と偏見で選んだ方が面白いものが選ばれるんじゃないかな。昔の「ビートたけしのアートバトル」のように。と勝手なことを思ってしまった。と言ってもファンディングする金も無いんだけどね。誰か、賛同してくれないかな・・・

その後、いよいよ私の発表。元々オーガナイザーに「若者が夢を持ているような話をしてくれ」と言われていたので、「小惑星に自己増殖型ロボットを送ろう。自己増殖型ロボットと言っても難しくない。3Dプリンタを思い描けば良い。小惑星で得られる資源を使える3Dプリンタ。その3Dプリンタが更に3Dプリンタを作れれば良い。そうすれば、自己増殖型ロボットになる。特に太陽から遠い小惑星では水が氷の状態で残っているので、氷を溶かして使う3Dプリンタが有望。自己増殖型ロボットができたら、いきなり弾ける。20世代後には100万台の3Dプリンタで小惑星は溢れ、巨大惑星間有人宇宙船を作って、地球に迎えに来てもらえば良い。是非、学生の皆さんは自己増殖型ロボットの研究をして欲しい」って話をした。

発表の後、一人の学生が手を挙げた。

「野田さんの話は面白いのですが、この研究をやりたいと指導教官に言ったら、先生がどんな顔をするか目に浮かびます・・・・・・」

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