マツド・サイエンス研究所

御免なさい

昨日の「仮想通貨(Bitcoin)は、銀河を駆けるか?」は、もちろんエープリルフールのネタである。御免なさい。

でも、エープリルフールのネタとは言え、嘘ははいっていないだが。

ところで、「惑星間通貨 InterPlanetary Coin : IPC」や「恒星間通貨 InterStellar Coin : ISC」を考えていたら、同じような仕組みが地球上でも役に立たないかって思い始めた。それが、「分散通貨 Distributed Coin : DBC」だ。(最初 Regional Coinと考えていたけど、「地域通貨」の意味になるので、ごく限定された地域でしか通用しない通貨のようなイメージなので、やめた)

例えば、山登りを考えよう。携帯電話などの電波の届かないくらいの山奥だ。

そこで、二人の登山者が出会った。一人は水も食料も無くし、もう一人は水と食料を持っている。水と食料の無い登山者は金銭的に裕福で、水と食料を千円で買うことにした。(こう言う場合、人道的には無料で水と食料を分け与えるべきだ・・と言うツッコミはなし。道徳の話をしているのではなく、経済活動の事例なのだ)

従来型通貨、つまり紙幣なら、千円札を渡せば、それで商談成立。めでたしめでたしである。

ところが、Bitcoinが従来型通貨に取って代わってしまうと、この商談は成立しなくなる。前回も話したように Bitcoin は 10分間の間に通信ができるところに居ないと成立しないシステムなので、携帯電話などの電波の届かない山奥では使えないことになる。

前回も書いたが、公式ソフトである Bitcoin Core は、ノートパソコンにもインストできる。たぶん最小限の構成は、Windows 8.1 の 8インチのタブレットPCだろう。実際、私のタブレットPCにもインストしてある。今や 35GB にも膨れ上がったブロックチェーンも含めて、たった 350グラムのタブレットPCで立派に動いている。

ブロックチェーンが 35GB もあるので、iPhoneやAndroidなどのスマホでは無理だが、最低限が私の8インチ タブレットPCで、それ以上のストレージに余裕のあるノートPCなら、Windowsマシンだろうが、MACだろうが、Linuxだろうが、Bitcoin Core を走らせることは可能だ。(スマホでも使える Bitcoin Wallet があるだろう・・と言われそうだが、それらは、SPVクライアントと言い、ブロックチェーンの全てをダウンロードするのではなく、ダイジェストだけをダウンロードしている。全てのブロックチェーンを持っていないため、マイニングなど本来 Bitooin ノードが持つべき機能を全て持ってはいない)

仮に、登山者2人が、2人ともノートパソコンもしくはタブレットPCを持っていて、その2台のPCに Bitcoin Core がインストしてあり、ブロックチェーンもダウンロード済みで、その2台のPCが無線LANであろうが、有線LANであろうが、ネット接続できれば、最低限の環境が整う(無線LANで、2台のPCを接続するのは、意外と簡単で、ちょっと込み入った操作が必要だが、少なくとも Windows 8.1 なら無料でできる)

マイニングの難しさを、2台のコンピュータで平均10分で行えるように調整したら、二人の間での取引はでき、マイニングして、決済することができる。これは、前回、IPCやISCのところで説明した通りだ。

ところが、山を下り、インターネットに接続した途端、2人の間の取引(トランザクション)は消えてしまう。ブロックチェーンは、最も長い物が正当と見なされ、短いブロックチェーンは捨てられてしまうからだ。こでも前回説明した通りだ。

Bitcoin は、ノートPCが2台あれば構成できるシステムなんだが、その2台だけのローカルな環境で決済した取引(トランザクション)は、グローバルな環境に接続した途端、消えてしまうと言う仕組みであることを理解してもらえただろうか?

CVSに対して、Gitが行うように、一旦分離したブランチを再びマージする方法は無い物だろうか?

少なくとも、現状の Bitcoin では、1つの長いブロックチェーンだけしか正当なものと見なさない仕組みなので、ブランチは許されない。

どうやれば、複数のブロックチェーンを分散して、なおかつ正当性を確保することができるのか?

これは一朝一夕で解決するほど簡単な問題ではない。2人の登山者のような短いブロックチェーンの正当性を、如何に担保するかが最大の問題になる。

もし、短いブロックチェーンの正当性を担保できる方法があれば、スマホにも正式なノードを入れることができる。現状のSPVクライアントのようにマイニングができない Wallet ではなく、フルシステムのノードがスマホで動くようになる。

そもそも、何故あんな巨大なブロックチェーンが必要なんだ?

自分の財布に千円札が入っていた場合、その千円札の前の所有者が誰だったのか、さらにその前の所有者が誰だったのか、気にする人が居るだろうか?

巨大なブロックチェーンは、その全てが記録されている。それどころか、自分が持っていも居ない、見たこともない人が、Bitcoin が始まって以来の6年間、誰が何時どう使ったの全ての記録が入っている。

自分に必要な ブロックチェーン だけを切り出せば、コンパクトになるに違いない。スマホで十分に扱える程度の大きさになるだろう。

先ほどの例なら、登山者の2人はノートPCではなく、それぞれ、スマホを持っていれば十分になる。

二人の間での取引は、2台のスマホでマイニングできるだろう。そうすれば、取引完了だ。

もちろん、山を下りた後、二人の間の取引が、それを記録したブロックチェーンが正当であることを担保し、グローバルなブロックチェーンに取り込まれなければならない。それは、「Proof of Work 」や「マイニング=ナンス付きハッシュ」と言ったBitcoinの根幹自体をひっくり返すことになるかもしれない。

このためには、「小集団の取引(トランザクション)を記録した短いブロックチェーンの正当性を如何に担保する」か、それが最大にして、唯一の課題だ。

それを解決することが、「分散通貨 Distributed Coin : DBC」の目標である。

(余談:山奥であろうが、太平洋の真ん中であろうが、人工衛星を使って通信できるようにすれば、現状の Bitcoin の仕組みでも、そのまま使えると言う意見もあるだろう。しかし、そのためには多数の衛星を打ち上げる必要があり、巨額の設備投資が必要になる。そのために必要な衛星は、衛星高度にもよるけど数千基必要であり、衛星とロケットのコストから考えて数千億から数兆円の初期投資が必要になる・・・って、これってGoogleがSpaceXに融資した内容だよね。って言うか、そのものズバリだと私は睨んでいる)

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