マツド・サイエンス研究所

クラウド+完全準同型暗号+ビットコイン=?

最近、知ったのだが、ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル: 2014年」を発表によると、クラウド・コンピューティングは既に『幻滅期』に入っているらしい。(この情報は昨年9月のものだが、今年の分は未だ発表されていないので、一応最新版だ)

なぜ、クラウド・コンピューティングが『幻滅期』なのかを想像するに、やはりセキュリティの問題だと思われる。

クラウド・コンピューティングとして、普通考えられるのは、1つ目のイラストのように、サーバー側でワープロや表計算ソフト等のアプリを動かし、端末側とはネットワークを介して暗号化した情報をやり取りする方法だ。

この方法だと、サーバーの内部では暗号を解読した平文になっており、サーバーを管理する企業が信頼できないと情報が漏洩してしまう。

従って本当に秘密にしなければならない情報を扱うのはクラウド・コンピューティングは使えない。

もしサーバーの管理企業が十分に信頼できる場合、そこのサーバーに処理が集中してしまうと言う問題が発生する。

一方、2つ目のイラストのように世界中にある暇にしているコンピューターを使って分散処理をしようとすると、各コンピュータの中の処理は平文であり、ほとんどの人が善意でも、たった一人でも悪意を持つものが居れば、そこから情報が漏洩してしまうことになる。

結局、クラウド・コンピューティングは、少数の『信頼できるサーバー』に処理が集中し、世界中に分散するコンピュータ処理能力の有効利用にならない。

このことが、クラウド・コンピューティングに対する『幻滅』だと思われる。

ところが、最近になって『完全準同型暗号』と言うものがあることを知った。詳しくは、MITが分散型クラウドコンピューティング『Enigma』プロジェクトを始動に書いてあるが、要は『暗号化したままアプリでも何でも処理ができる』と言う技術である。

『完全準同型暗号』なら、暗号化したまま『整数の加法と乗法』を行い、最後の結果のみを『解読』すれば、計算の結果を知ることができる。つまり、暗号を解読する『鍵』を持っている者以外は、何を処理したか、全く中身が判らないまま、処理ができるのである。

と言っても、処理が『整数の加法と乗法』じゃあ、大した事はできないと思うかも知れない。しかし、『整数の加法と乗法』ができれば、『チューリングマシン』が構成できるのである。『チューリングマシン』が構成できるのであれば、ワープロであろうが、表計算ソフトであろうが、どんなアプリの処理もできるのである。

『完全準同型暗号』の技術を使えば、セキュリティを守ったまま、クラウド・コンピューティングで分散処理ができるようになるのである。

と言っても、『暇なコンピュータの処理能力』を提供してくれる人が居るかが、キーポイントだ。

そこで思い付いたのが、『ビットコイン』だ。

現状のビットコインは、『マイニング』と言うブロックチェーンを作るだけのために大きな計算能力を使っているが、それだけでは電力の浪費のような気がする。

そこで、『暇なコンピュータの処理能力』を『完全準同型暗号』の『クラウド・コンピューティング』に提供してくれた人には、ビットコインのような『仮想通貨』を作って、それを使って『報酬』を得られるようにすれば良いだろう。

と、思い付いたのは良いけど、どうやれば『仮想通貨』と『完全準同型暗号のクラウド・コンピューティング』を結びつけるかと言う課題の解決は、これからだ。

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