野田真紀のお気楽・極楽 英国便り

その1 何故日本では、ハッチバックの車が流行らないか? 26th June 1998


何故日本では、ハッチバックの車が流行らないか?

 私は、主人と違って車に全く興味が無いが、何処に行くにも必要以上に、荷物を持ち歩く癖のある、自称”ドラえもんのポッケ”としては、ハッチバックのように、トランク一杯になってもまだ、必要に応じて後部シートが使えるハッチバックはとても素敵に思えた。

 そして、ある日主人の「一昔前は、日本もハッチバックの車が多かったけど、今はほとんど見ないなぁ・・・」というボソッと言った言葉に”確かに、そうねぇ・・・でも、イギリスと言う国はDIY(Do It Yourself.)が当たり前だから、荷物を載せる為に必要なんだろう”と考えた。それに日本では、そんな大型の物を作ったり直したりあまりしないし、第一自家用車で持ちかえれないものを買ったとしても、トラックを無料で貸し出してくれたり、届けてくれたりするから必要無くなったのか?なんて、思っていたが、これが原因でないことが、ある冬の寒い買い物帰りに、急に判ったのである。

 それは、・・・12月と言う寒い冬に渡英した我が家は、まだまだイギリスと言う土地にも慣れず、それでも週末の大型スーパーへの買い出しは、こちらの人々同様行なっていた。”イギリスは寒い寒い”と渡英前、皆に脅されていたものの、来てみたら40年ぶりの暖冬とかで、日本より暖かい感じ。”これなら、寒がりの私でも平気!!”なんて言ったりしていた。(本当は、メキシコ暖流のせいで、皆の思っているほど寒いところではないらしい。)

 話が外れてしまったが、とにかく、あまり寒く感じてなかったのに、その日は、かなり冷え込み、約1時間の買い出しの後、主人の「寒いから、先に車に乗って待ってな。」の言葉に有り難く車に乗り込みエンジンをかけ、暖房を最強にし子供2人と、座っているところへカート一杯の荷物を持った主人がやって来て、トランクを開ける・・・すると、寒い風がビュ〜。”さむーい!!”

 そうです。この時悟った。トランクを開けるとハッチバックの場合、車内全てが風に吹きさらされることになる。折角の暖房も一瞬にして無くなってしまう・・・。もちろん雨の強い日は、雨が後ろから降り込み、座っていたら寒いだけでなく、濡れることになる。”夏は暑く、冬は寒く、台風のように雨風が強い季節もある日本には、絶対に不向きなハッチバック”これが、私の出した結論。ちなみに、夏でもさほど暑くないイギリスは冷房の効く車はほとんど無く、ハッチバックを開けた為に、暑い外気が入ってくる・・・と言うことはない。そして、何故か雨に濡れるのも平気な人々。きっとハッチバックの車に乗っていて、雨が降り込んだからと言って、とやかく言う人もいないのだろう。


野田篤司より、脚注:
 文中、私の言葉として、「今、日本にはハッチバックはほとんど無い。」と有りますが、これは乗用車タイプの5ドア・ハッチバックの事です。15年程前は、ホンダ・クイントやトヨタ・コロナ等に5ドア・ハッチバックがあったのですが、今はすっかり姿を消してしまいました。現在でも英国に輸入されている日本車の多くは5ドア・ハッチバックですから、生産はしていても日本国内販売はしていないだけでしょう。
 今でも3ドアやワゴン・タイプのハッチバックは日本に有りますが、その比率は英国よりずっと低いです。
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