野田真紀のお気楽・極楽 英国便り

その5 外米をいかに美味しく食べるか? 26th June 1998


外米をいかに美味しく食べるか?

 我が家は、ご飯がなきゃ絶対駄目!と言う者はいないが、それでも日本人。やはり、ご飯が食べたい・・・と、渡英前のドタバタ騒ぎのなか、炊飯器を購入。手荷物のトランク5個に加え、買ったばかりの炊飯器を持っての出国。自分の荷物さえ持たない、当時5歳と2歳の子連れには、とんでもない量の荷物だったと・・・今では思う。そんなに大変な思いをして持ってきた炊飯器を、事もあろうに、こちらの空港に着き荷物を受け取る時、忘れていた私達夫婦。幸い、子供たちをトイレに連れていってる間に、主人が思い出しベルトコンベアーへ行って見ると、我が家の炊飯器1つだけが、回っていたらしい・・・。(それにしても、良くぞ思い出してくれた。偉い!!)

 炊飯器は、すぐ役に立ったかって?もちろん!イギリス時間の夕方ホテルに着き、こちらで唯一の知人に、郊外の大型スーパーへ連れて行ってもらい、着いた早々カートに山盛りの食料品と一緒に、アメリカ米を購入。次の日の夕食には、ホワイトシチューと鶏肉のソテーと共に食卓に並んだ、お皿に盛られたご飯は、一粒一粒がポロポロとこぼれ、引っ付いてないご飯だった。これでは、子供たちの好きなおにぎりも出来ない。

 それから毎日、どうすればご飯が美味しく炊けるか、試行錯誤する事になる。数年前日本での米不足のおり、美味しい外米の炊き方が、あれほど特集されていたのに・・・ちゃんと聞いておけば良かった・・・などと思いつつ、確か油を少し入れて炊くと良いとかあったなぁ・・・と入れてみる。今までよりは引っ付いてる気がして、約3ヶ月もこうした炊き方をしていた。

 ある日、突然自分のお腹や主人のお腹のお肉が気になり始め、”油を入れたご飯をおかわりして、沢山食べているからに違いない。”と、おかわりする事を考え直すのでなく、油を入れずに炊く事にしたのだ。水加減をどんどん増やしながら炊き、とうとう本来の水加減より半合分も余計に水を入れれば、美味しく炊ける事を発見。こうなると、今まで油を入れ続けてきた自分は何だったのだろう・・・などと考え込み、油のおかげで、米と米が引っ付いて炊けるようになったと喜び、ご飯を炊いていたのなんて忘れ、3ヶ月前に戻る事が出来たら・・・と自分勝手な事を思いつつ、お腹の肉を見るのであった。

 ちなみに、この炊き方をし始めてからは、ご飯が上手く引っ付くのでおにぎりも出来、お茶漬けも卵かけご飯・・・なんて言う物まで美味しく食べられる事になる。いままで、食べられなかった、日本風のご飯の食べ方を、しばらくの間毎日食べ続けのは、言うまでもない。油を入れて炊いた時は、ご飯の表面に薄いマクが出来たような感じで炊き上がり、お茶漬けや卵かけご飯には、不向きだった。しかも一晩おくと、米がバラバラに分解してしまい、ぼろぼろと崩れる食べ難いご飯になってしまうのだ。水を増やして炊いてみよう!!日本の米よりかなり細長いが、味は決して悪くなく、しかも格安の米だ。

 余談だが、ご飯には梅干し。だけど持って歩くには、一粒々が大きく沢山は持ち歩けない。だが、渡英前に引っ越し荷造りの手伝いに来てくれた母が、梅干しの種を取り、包丁でたたいて、練り梅風にしてくれた。これなら、かなりの量の梅干しが持って歩け、しかもおにぎりなどの時に、種を取る煩わしさがなく、とっても便利。流石、年の功!!この練り梅を食べる度、この梅干しを漬けたのは、主人のおばあちゃん。そして、日本の我が家で夜遅くに、包丁でたたいて練り梅にしてくれたのは、母・・・と思い出し、時折ジ〜ンとしたりするのであった。


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