野田真紀のお気楽・極楽 英国便り

その14 これはどうした、イギリスの天気 21st October 1998


これはどうした、イギリスの天気

 渡英した昨年12月。朝は主人が出勤する朝も、帰宅する夕方も真っ暗で、なんて昼が短いのだろう!と思ったもの。その頃の天気は、想像していたより晴れの日も多く、曇りの日、雪の日・・・と、大体天気予報通りで、日本より優秀な天気予報ね!と思っていた。

 そのうちサマータイムがやって来て、朝も早くから夜は9時過ぎても明るく、一体何時暗くなるのだろう?!この明るさのせいで、「まだ明るいじゃないかー。だから寝な〜い」と言う子供たちを、無理矢理寝かしつけるのに苦労した事。この明るさを見せない様に、寝る前のお風呂に入る時間には、電気を点ける必要もないのにカーテンを閉め、電気を点け『もう夜だよ!!』と言う雰囲気を作って寝かせる準備をしなければならなかった。

 この頃とても暑い日があって、こちらの人々はノースリーブ姿。公園には、上半身裸の子供達。大人も芝生の上でゴロゴロ・・・と言う姿が見られ、我が家も急いで衣更えをした。これが大失敗!!まさか、こんなに天気がコロコロ変化するとは、知らなかったのだ。しばらく暑い日が続いたかと思うと、急に冬に戻ったようになり、セーターや上着の欲しい日がやって来た。我が家は衣更えを終えたせいで、冬物がない。”寒いなぁ・・・”と思って外を歩くと、こちらの人々は、皆セーターを着、上着を羽織って、正に冬そのもの。”この国では、衣更えをしてはいけなかったのか!”私も、風邪を引いたら大変と慌てて、冬物をダンボール箱から引っ張り出す。

 特に変だったのはこの頃だ。朝起きた時、晴れてても、しばらく経つとどしゃ降り・・・雲って来たと思ったら、また晴れ、何処にも雲が見えず安心していると、いきなり雪。と毎日毎日一日中天気が変化し続けた。こうなると天気予報はあてにならない。あてにならないと言うより、どの天気を言っておいても、なんでもありだから、あたっていると言うのかもしれないが・・・とにかく、少しの晴れ間が覗いたら、子供達を外に連れ出し、急いで遊ばせなければ、すぐ天気は崩れ、何が降ってくるか判らないのだ。そして、どんなに晴れてる時でも、雨具の用意。何時大雪や大雨。雹が降ってくるか判らないのだ。

 それにしても、この大雨の中、傘をささないで歩くイギリス人が多いのには驚く。”紳士の国・・・きっと素敵な傘を手に入れる事が出来るだろう”と、携帯用と子供用の傘しか持って来てなかった私達。携帯用じゃ小さすぎて使いにくい。でも良い傘を売っていない。

 そこで、私は雨の日のこの国の人々を観察した。すると傘をささない人を除き、何らかのかたちで雨を避けている人々には3種類或る事に気付く。第1に、おばあさん・・・このお年寄り達は、頭(髪の毛かな?)が濡れる事を嫌うらしく、頭にナイロン製のズキンのようなものをかぶる。(このナイロン製頭巾、街で49p・約100円で売られていた)この場合、洋服は濡れている事が多い。第2に、とても役に立ちそうも無いほど小さな傘をさす人々・・・この場合も頭は濡れないが、身体はかなり濡れている。第3は、何人でも入れるのではないかと言うほど大きい傘をさす人々・・・この傘は、ゴルフ用の物らしいけど、これをさしているかぎりほとんど濡れずに済む。ただ傘が重く扱いにくいのが難点。

 こうした観察の結果、我が家は第3のゴルフの傘を購入。これだと親子で入っても濡れずに済む。この後、あちらこちらで、折り畳み傘が売られててるのを見つけた私。油断して雨具を持っていないと、1日の内何処かで雨に降られるのを身を持って、やっと知った頃の事だ。こんな不安定な天気だから、折り畳み傘が一番便利なのだろう。毎日絵日記を書いている、娘の日記帳のお天気欄は、1日の天気を書ききれないで、はみだしている日が多い。晴れのち、くもり時々雨のち晴れ、一時あられ・・・。

 この天気を身を持って知るまでに何ヶ月も要し、気が付けば帰国もすぐそこ。そう、もう10月。10月に入り1日中カラッと晴れる日もなくなり、洗濯物を外に出しても意味が無く、日中11度・夜8度。と暖房なしじゃ要られなくなった。もともと寒がりの私は、寒くて寒くて・・・皆、夏1度、得したじゃない!!と言うけれど、冬がいつもの2倍も長くあるようで、損した気分だ。(7・8月でさえ半袖を着る事は、ほとんど無く、段ボール何箱分もの夏物衣類は、箱から出され無い物のほうが多いのだった・・・。)

 この寒さの中、相変わらず雨が降ろうと、プレイタイムに校舎の外に放り出される娘は、日々たくましくなって、少々の事では風邪を引かなくなってきた。身体が、イギリス人となってきたか・・・?!余談だが、長く海外に住んでいると、髪が金色になり目が青くなり、英語をぺらぺらと話し、外人の容姿になると信じている娘。かなり英語を理解し始め、身体も外人並みになってきたし、次は髪の色が変わってくるかな?
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