野田真紀のお気楽・極楽 英国便り

その19 宿泊施設いろいろ 21st October 1998


宿泊施設いろいろ

 私達が遠出・・・すなわち泊りがけで旅行するのは、親・兄弟が渡英して来る事が、きっかけになる。
 まず3月に主人の両親が、渡英して来てくれた時。やっと、生活に馴染み毎日が流れるように過ぎている頃の事・・・せっかく来てくれているのだから、何処か遠出しよう!主人が職場で聞いてきたところ、ウェールズ地方が良いんじゃないかと言う事になり、何処に行くと言う目的地も決めず出かけた。途中素敵な村村が見え、何処の村で泊まるのかワクワクしているのに、車は走り続け、何も無い所を何十分も走り始めた。時間も遅くなり始め、何処でも良いから宿で休憩したい。そんな気持ちだけが頭を横切る。

 朝出発して高速沿いで昼食を食べたのみで、何処の街を見るでもなし、子供たちも飽きていた。かと言って、何もない寂しいところにポツンとある宿屋に泊まるのも・・・。自然と私達は無口になり、少し大きな街が見え始めた時は、ホッとしホテルかB&Bを探して、目は皿のように道路沿いを見つめた。しばらく行くと、小高い前方にお城跡のホテルを発見。義母とほとんど同時に「お城ホテルがある」と言った。そして、もちろんこのホテルに部屋がないか、聞きここで泊まる事になったのだ。

 私たち親子の部屋は、ダブルとシングルのベッドがある部屋と2段ベッドのある子供部屋とバスルームがあり、かなり余裕のある広々とした、城壁跡と、町並みが見渡せるとても良い部屋だった。ここで、熱い紅茶を飲むと、先ほどまでの疲れは何処へやら、日が暮れるまで街散策に出かけ、ご機嫌になるのだ。(とても、単純に出来ている・・・)このホテルはお城を改装して使ってあるらしく、細いくねくねとした廊下をあちらこちらと歩き、沢山の数のドアを行き、出入り口に向かうのだ。迷子になるのでは?と心配したけど、そこはホテル。部屋番号をおっていけば、ちゃんと自分達の部屋に行ける。

 そして2度目の旅行は、私の両親が渡英して来てくれた6月。今度は、ちゃんとホテルを予約しておいて、行き先を決めての旅行だ。行く先はコッツウォルズ地方の南半分。ここでは、マナーハウスと言って、かつて領主の館だった建物を宿にしてあるところ。ここに泊まる事にした。私達の部屋は、パッチワークカバーのかかったシングル2つと、真っ白いフリルのベッドカバーのかかったシングル1つ(娘用)。そして、ブルー基調のベッドカバーのかかった、背の低いエキストラべッド1つ(息子用)。

 そして、広いバスルームには、子供用に黄色いあひるの親子のおもちゃまで用意されていた。ここでは、食事をする際、小さな息子の為にディナーの時も朝食の時も、椅子の上にクッションを置いてくれたり、とても細やかな心遣いをしてもらった。大きなホテルとは、ちょっと違う感じ。庭の手入れも行き届き、とても奇麗。

 そして、3度目の旅行は、主人の妹夫婦が渡英してき来てくれた7月。6月に行けなかったコッツウォルズ地方の北半分を見る為、2泊しての旅行だ。今回はイギリスの何処にでもあるB&B。何処にでもあると言っても、あらかじめ予約しておいたのだが・・・。日本で言うペンションや民宿って言うところだろうか。家族で経営していて、とてもアットホームな感じがする。私たち家族が泊まった部屋は、ダブル1つとシングル1つ。エキストラベッド1つと、バスルーム。

 今までのところより、ずっとこじんまりしているけど、清潔で居心地は良い。もともと家畜小屋だったところを改装してあるようで、バスルームのドアなど、その趣のある作りで、壁の厚み等は信じられないほどで面白い。けどB&Bとは、大抵経営者家族と同じ家の中の部屋で、我が家のように小さな子供連れは、多少気を遣うようなところ・・・と思っていたが、私達の泊まった部屋は離れで、我が家のみ。のんびり2泊出来たのだった。

 朝食は、ボリュームたっぷりイギリス式朝食。まず、コーヒーか紅茶を頼み。シリアルを食べている間に、ベーコンと焼きトマト・揚げパンの付いた目玉焼きが運ばれてくる。もちろんお皿はあっちっち!!そして、薄いトーストとオレンジジュース。朝から、お腹一杯食べるのがイギリス流。そして、この他に私達が知る宿泊施設は、1月半も住んだキッチン付きホテル。ダブル1つとシングル1つ。エキストラベッドのついたホテルの離れにある部屋だった。何処でもそうだが、イギリスで泊まる場合、必ず部屋に電気湯沸かし器と紅茶やコーヒーとミルクのセットが置いてあり、ホテルに着いてすぐに、熱いお茶を飲む事が出来る。このお茶が、心を和ましてくれホッとさてくれる大切なもの。

 このお茶のセットに慣れて来ていた私たちは、8月にスペインで4つ星ホテルに泊まり、部屋の豪華さと設備には感心させられたが、どこにもお茶のセットがなく、悲しい思いをした。そう言えばイギリス以外で、お茶のセットを見るのは、日本の日本茶のセットくらい?!イギリスの宿泊施設いろいろ・・・それぞれ個性があり、どの宿も私達にとって、とても楽しい思い出ばかり。とりわけ、ホテルを拠点に観光している間中、「ホテルに帰ろうよぉ!!」と言い続ける息子は、大のホテル好き。けど、覚えていられるかな?
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